
「価値観マップ」だけでは迷子になる理由 ― 「価値観」と「原則」の違い
自己分析やコーチングの現場では、よく「価値観マップ」を作ります。自分が大切にしていることを言葉にする。可視化する。とても効果的なワークです。
でも、ずっと違和感がありました。「価値観を明確にした。なのに、まだ迷う」。そんな声を、クライアントからも聞いてきました。自分自身の中からも、何度も聞こえていました。
答えが見えたのは、「7つの習慣」と出会ってからです。
僕は今、ある企業で働いています。会社には、朝礼で全員が唱和する「経営理念カード」があります。僕はそれを、ずっと「原理原則」だと思い込んでいました。会社が大切にしている、揺らがない土台なんだ、と。
でも、「7つの習慣」を読み込むうちに、気づきました。それは「原則」ではなく、「価値観」だったんです。
「価値観」と「原則」は、似ているようでまったく違います。
価値観は、個人や組織が「大切にしたい」と選び取るものです。時代や環境、立場によって変わります。人によって違って当然のものです。
一方で原則は、違います。コヴィー博士が言うように、時代や国境を超えて変わらない。人類が長い歴史の中で証明してきた、普遍的な法則です。「誠実」「公正」「貢献」「奉仕」。これらは、誰が何と言おうと、長期的にはうまくいくと証明され続けてきたものです。
会社の理念カードは、会社が選び取った「価値観」でした。原則そのものではありません。原則に近づけようとした、一つの表現だったんです。
ここで大事なのは、価値観が悪いということではありません。大切なのは、自分たちの価値観を、原則にどれだけ寄せられているかです。
そして、もう一つ気づいたことがあります。
「時代が変わっても、ずっとうまくいっていること」。それは、おそらく原則に近い価値観です。逆に、うまくいかなくなったり、状況によって崩れてしまう価値観。それは、原則からズレている可能性があります。
だからこそ、一度立ち止まってほしいのです。自分が大切にしていると思っていること。それを、問い直してみてほしいのです。
「これは、自分が今たまたま選んでいる価値観だろうか。それとも、時代や状況が変わっても、長期的にうまくいき続けてきた、原則に近いものだろうか。」
コーチングで一緒にマインドマップを描くとき、僕が大切にしていることがあります。ただ「好き」「大事にしたい」を並べるだけではありません。それが本当に自分の人生を支える土台になるものかどうか。一緒に確かめていきます。
価値観マップは、自分を知るための、とても良い入り口です。でも、そこで終わらせない。その価値観が原則に根差しているかを、問い直す。それが、迷わない自分の軸をつくる、次の一歩だと思っています。
